エコは集客へとつながるか?長野県の宿の取り組み

エコな宿泊施設「エコ」がブランドとなっている今、様々な業界がエコらしさを取り入れようとしています。
長野県には、エコな心をもったおもてなしを行う宿を登録し、持続可能な観光を目指す「信州エコ“泊”覧会」という取り組みがあります。
ここに登録されているある宿では、温泉を利用して暖房を行っています。
まずは、水を源泉から引いた60度のお湯で5度温めます。この水を、さらにボイラーで70度まで沸かし、宿の天井に張り巡らされている管に流すことで部屋を温めているのです。また、そうした温まった空気を逃がさないために、窓ガラスは二重にしてあります。
こうした工夫で、暖房のために使っていた年8千リットルのボイラーの重油は、今は5400リットリにまで減りました。

不要となった木材も再利用されています。県内の果樹農家が薪を提供し、ストーブに使われ暖房の役目を果たしています。ストーブは、暖房としての役割だけでなく、きらめく火で利用者の気持ちもリラックスさせます。

エコな心配りは、食事にも反映されています。
割り箸の使用はゴミを増やすため、5年前から廃止されています。食事のメニューも、地元の野菜やサーモンが使われ、地産地消となっています。このように地域で取れたものをそのまま使うと、他の地域から買う時のガソリンの消費を減らせるという利点もあります。
ただ、割り箸から通常の箸に変えたばかりの当時は、どうしてきれいな箸が使えないのか、といった苦情もあったそうです。最近は、エコに取り組む姿が認知され、そうした苦情はなくなっているとのこと。

前述した信州エコ『泊』覧会は2007年から始まり、2012年末には187軒の宿やペンションが登録されるに至りました。
しかし、こうした「エコ」のブランドが直接的に観光に結びついているかというと、そうでもないようです。
旅行者の多くが旅に求めているのは、おいしい食事やきれいな部屋などの「非日常」であり、エコを主軸に置く人は少ないそうです。また、エコのための活動がケチな行為として見られることもあり、中々思うようには行かないようです。

ただ、これに大しては旅館側も、エコの押しつけはせず無理のない範囲で実行していこうという考えです。
あるホテルでは、客室にヘアブラシを置かずに、エレベーターホールに設置された籠から必要な分だけ持って行けるようにしています。
無理のない範囲でエコを続ける。むしろそれがエコの本質だと言えるかも知れません。