急速に姿を消していくシジミ。地震の揺れが原因か?

獲れる量の減るシジミみそ汁の定番の1つ、シジミ。
冬になり、寒さのために栄養を多く取り込んで大きくなったシジミは「寒シジミ」と呼ばれます。茨城県では、2人掻きと呼ばれる伝統的な方法でシジミ漁を行っています。

しかし、今急激にシジミの獲れる量が減ってきています。
静岡県の涸沼と、そこから流れる涸沼側では240人を超える漁師がシジミを獲っています。
地元の漁師の人の話によると、去年までは1日に100キロ獲れていたシジミが、今は1日10キロにまで減っているとのこと。東日本大震災以降、不漁が続いているのです。
不漁の原因としては、地震の揺れで川や沼の地形が変化してしまったのではないかと考えられています。また、真水と海水が混じり、海水の約3分の1の塩分濃度だった涸沼の水も、塩分濃度が上昇してきています。涸沼に入り込む潮の流れも強くなりました。
そこに今、国土交通省が計画する霞ヶ浦導水事業が漁師の不安を増加させています。

この導水事業では、涸沼川の本流である那珂(なか)川の水を使って霞ヶ浦の水を浄化させます。同時に、那珂川の水が渇きそうな時は、霞ヶ浦の水を注水するとしています。
この計画にたいして、地元の漁師からは「取水口に稚魚が吸い込まれてしまう」「アオコが問題化している汚染された霞ヶ浦の水を入れて欲しくない」「那珂川の水が霞ヶ浦に流れると海水と淡水のバランスが崩れる」といった反対の声が4年前から上げられています。
2009年に、複数の漁協が建設の差し止めを求めて訴訟を起こしています。

農林水産省のデータによると、シジミの捕獲量のピークは1970年の約5万6000トン。そこから減少が続き、2009年の捕獲量は約1万トンです。かつては島根県の宍道湖、秋田県の八郎湖、利根川が最大の産地でしたが、八郎湖は干拓、利根川は淡水化事業が行われたことによりシジミの数が減りました。
霞ヶ浦漁業研究会の代表を務める濱田篤信博士は、「過去のデータを分析してみると、川の流量が少しでも減少すると、漁獲量も減っていくことがわかった。今は地域固有の生物資源の大切さが協調されている生物多様性の時代。違う水系をつなげる導水事業が必要なのか」と導水事業を批判しています。

こうした問題の難しさの1つに、結果が分かるまで時間がかかる、という点があります。
もし導水が環境を壊すとしても、それはすぐには分かりません。徐々に環境が変化していき、気づけばシジミが壊滅寸前、という事態もありえるのです。

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